テストエンジニアの平均年収は高い?キャリアパスや未経験の転職方法についても解説
テストエンジニアを目指すにあたり、多くの方が気になるのは平均年収でしょう。
結論、テストエンジニアの年収は、経験の有無や取得しているスキル・資格によって異なります。
そこで本記事では、テストエンジニアの平均年収について解説。
さらにキャリアパスや未経験からの転職方法、役立つ資格も紹介します。
テストエンジニアの平均年収を知りたい、既にテストエンジニアで年収を上げたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次 (PRも含まれます)
テストエンジニアとは
テストエンジニアは、Webアプリケーションを作った時に、「この製品がお客さんに出しても本当に問題ないか」をチェックする仕事になります。
テストエンジニアは別名「QAエンジニア」と呼ばれていますが、これはQuality Assurance、つまり品質保証エンジニアの略称です。
つまり、「製品の品質を保証するエンジニア」が主な役割となります。
テストエンジニアの年収・求人例
それでは、テストエンジニアの年収について、私の経験や友人の事例を参考にお話ししたいと思います。
テストエンジニア未経験の正社員年収
テストエンジニアとしての未経験で正社員になる際の年収についてですが、率直に言って、かなり低いと言わざるを得ないです。
経験がない場合、おおよそ250万〜350万が一般的な価格帯ではないでしょうか。
テストエンジニアに未経験から入る場合、大まかにはチェックリストに沿ってテストを行う職種と、テストエンジニアとしてのスキルアップを前提に雇う企業の二つに区分されます。
テストエンジニアの職に未経験からつき、SESの企業で労働し、さらに給料を増やすとなると、それほど大きな上昇は見込めないのではないかという感じがします。
その理由は、どんな人でも手軽に仕事に就ける職種であるため、スキルレベルが大きく上昇しない職場では、給与を増やす必要性がないからです。
ただし、新卒採用において育成を重視する会社や、教育に対する投資を行う会社であれば、年収は500万~600万円を見据えることが可能です。
[コメント]事実、私が新卒として勤めていた企業でのテストエンジニアの年収は500万円でした。[/コメント]テストエンジニア経験者の正社員年収
テストエンジニアとしてのキャリアを持つ正社員の年収は、会社によって様々です。
テストケースの実行だけではなく、以下のような体験があれば、年収が上昇する場合もあると言えます。
- テストケースの追加・改善
- テスト計画を作成
- 自動テストを導入し
- テストエンジニアのマネジメント
このような能力や経験を持つと、年収は600~900万円を目指すことができます。
テストリーダーになれる人は特に少ないので、給料は相当高額になります。
フリーランステストエンジニアの年収
最後に触れるのは、フリーランスとしてテストエンジニアを行うケースについてです。
フリーランスのテストエンジニアでは、求められる能力が大きく変動します。
テストリーダーをやっていると、時間単価で5,000円〜7,000円くらいを目指せます。
テストエンジニアへの需要は、フリーランスの領域でとても大きなものです。
特にテストリーダーの経験を持つ人や自動テストが可能な人は、LayerX、メルカリ、Ubieなど、ソフトウェアテスティングに注力している企業で雇用される事例が頻繁にあります。
下手なWebエンジニアに比べて、年収は高めに設定できると思います。
テストエンジニアが年収1,000以上を目指す方法
実際にテストエンジニアが年収1000万円を超える方法を目指すために思索してみました。
最初に、正社員のテストエンジニアとして年収1000万円を追求するのはかなり難易度が高いと考えられます。
確かに、一部の大規模ベンチャー企業などで働き、QA担当者としての最高レベルに達すれば、可能性はあります。
とはいえ、その段階に上がると、日本中で100人以下のテストエンジニアのレベルとなるでしょう。
テストエンジニアとして年収1000万円を突破するには、フリーランスになるのが一つの実際的な方法です。
時間単価が約7000円だと、1年間休みなく働けば、年収1000万円、正確には年商1000万円を達成できます。
さらに、テストエンジニアの専門知識を本として販売し、その著作権料で収入を得る手段も存在します。
その結果、給与が約100万円増加する可能性も存在します。
これらを考慮に入れると、フリーランスのテストエンジニアとして活動するのが現実的な選択肢ではないでしょうか。
テストエンジニアのキャリアパス
次に、テストエンジニアのキャリアパスを説明します。
テストエンジニアのキャリアは、基本的に次の2つに区分されます。
- テストエンジニアとして昇格していく
- テストエンジニアと別領域の能力を広げていく
ここからは、各種のキャリアパスについて、詳しく説明します。
テスター
通常、テストエンジニアはテスターという職種からキャリアをスタートさせます。
テスターは、テスト仕様書やテストケースを参考に確定されたテストを実行し、その結果を共有するのが仕事です。 テストエンジニアになると、新卒・中途・未経験の場合、最初にこの業務を遂行することになります。
さらに、SES等で成長が特段に要求されていない職業の場合、この仕事を継続するよう求められる場合が多くあります。
したがってこの職種では、テストケース通りにテストを実施しすることやエビデンスを残すこと、報告ができることがまず求められます。
テストエンジニア
テスターとしてテストを自力で行えるようになると、徐々に仕事の量が増えていきます。 テストケースを単に実行するだけでなく、仕事の範囲が広がるとテストエンジニアに近づきます。
たとえば、テストケースの構築やテスト計画の作成を担当します。
テストリーダー・テストマネージャー
一定のレベルに到達しテスターとして独立して作業ができるようになると、その次のステップとしてテストリーダーやテストマネージャーになることが求められます。
テストリーダーは、新製品のローンチ時期を決定し、機能のリリース時にはテスト期間とテスト範囲を設定する役割を担当します。
また、テストの設計や戦略の立案、そして必要なテストプランの策定もテストリーダーの業務です。
例えば、リグレッションテストをどの程度行うのか、探索テストをどれぐらいやるのかなど、テストのスケジュールを立てていくのが彼らの役割です。
テストの構築も担当しますが、指定された期限内でテストのプランを作成し、ガントチャート等を用いてスケジュールを引き、管理するのも仕事の一環です。
また、チーム別にどの程度の工数を持っていて、そのコースに合うように開発やテストを進めていくという役割もあります。
さらに、新人エンジニアの教育もテストリーダーやテストマネージャーの業務となります。
たまに自分でテストを実施することもありますが、基本的にはチーム全体がテストを実施できるようにすることが主なタスクです。
テスト自動化エンジニア
次に、テスト自動化エンジニアの説明をします。
これは純粋にテストエンジニアの延長線上というよりは、特にプログラミングスキルを掛け合わせてバリューを出していくような職種です。
テスト自動化エンジニアの役割として、数多くのテストの中でも、特に頻繁に行われるテストを自動化します。
これはリグレッションテスト(回帰テスト)と言い、新規の機能を導入した際に、問題が生じないかを見るテストです。
本来、新たな機能が導入された時点でテストを始められるのが最適ですが、テストエンジニアも人間なので、テストを行う回数や速度には限りがあります。
そのため、テストを適度に自動化することにより、テストケースをコーディングで稼働させるのがテスト自動化エンジニアの仕事です。
前提として、テストエンジニアが立案したテストケースをプログラムに変換するのが主な仕事内容です。
テスト自動化エンジニアは需要が高まっており、フリーランスとして働きやすく、高い報酬が期待できる職業です。
プログラマー
次にテストエンジニアとは全く異なる職業なのですが、プログラマーに転向するケースもあります。
実際、プログラマーがテストを行う場面もあります。
テスト範囲は、単体テスト、結合テスト、そしてE2Eテストの3つです。
この部分では、プログラマーは単体テストや結合テスト、つまりコードレベルのテストを確実に実行します。
しかし、ユーザーが実際に操作したときの動作の確認(E2Eテスト)は、基本的にテストエンジニアが担う仕事です。
そのため、テストエンジニアとして一定の経験を積んだ人が、ソフトウェアエンジニアに転職する事例も存在します。
テストエンジニアからプログラマーに転身することは、通常テストエンジニアのキャリアパスのにはないという点に留意してください。
テストエンジニアからプログラマーに転身できるという話を受けて、プログラマーになるためにテストエンジニアの道を選ぶケースをよく聞かれます。
しかし、テストエンジニアからプログラマーへの転身は非常に稀なケースです。 プログラマーの仕事では、基本的には経験者がすぐに業務を担当するか、未経験者をプログラマーとして教育するケースが頻繁にあります。 テストエンジニアがプログラマーに進化するケースも見られますが、それは非常に稀な事例です。
だからこそ、初めてプログラマーを目指すなら、未経験からプログラマーへの転職活動を進めることをおすすめします。
未経験からテストエンジニアへ転職する方法
一般的に、テストエンジニアは未経験者でもなれます。
もちろん、学歴や年齢で選ばれないこともありますが、SES等であれば20代~40代でもテストエンジニアへの転職はそれほど難しくないです。 特定の事前準備が必要なわけではなく、やる気と最低限のビジネススキルがあれば、未経験者でもテストエンジニアになれると思います。 しかし、優秀なテストエンジニアとして、またはテストエンジニアのキャリアを一段階上げて転職するという観点から考えると、状況は少し異なります。
ソフトウェアテスティングに大規模な投資を行っている企業で、テストエンジニアとしてのスキルを身につけられる会社であれば、大学卒業程度の学歴は必要です。
特に日本を代表する大規模スタートアップで働く際には、高学歴が必要な場合ももあるでしょう。
加えて、IT業界での実績や、自分でテストについての本を読んでいるなら、未経験でも採用される可能性があるかもしれません。
また、年齢による転職の難易度についてですが、20代の方はテストエンジニアへの転職がスムーズに進むことが多いです。
30代の人も頑張れば未経験でも転職できます。
ただ、40代になると、SESの会社を除いては採用される可能性は低くなるかもしれません。
そのケースでは、派遣会社を通じてテストエンジニアになるという流れになるでしょう。
テストエンジニアの仕事に役立つ資格
テストエンジニアとしてのキャリアを築くためには、以下の資格を取得することがおすすめです。
- 基本情報技術者試験
- JSTQB認定テスト技術者資格
- IT検証技術者認定試験(IVEC)
- ソフトウェア品質技術者資格
それぞれの資格について、詳しく解説します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人IPAが運営する国家試験です。
ITエンジニアの基本知識を証明する資格で、IT業界に進出を考えている方には欠かせないものです。
基本情報技術者試験に合格することで、IT分野の基本的な知識や技術を習得していることが証明されます。
さらに、IT分野での就労に必要な資格取得の基礎を築くことができるため、キャリアアップにもおすすめです。
試験は科目Aと科目Bの2つのセクションに分けられており、科目Aは90分、科目Bは100分の時間枠が設定されています。
どちらも1,000点満点となり、どちらも600点以上の獲得で合格となります。
合格率は約40%と高いとは言えないですが、IT分野で働きたいと考えている方にはおすすめです。
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は、世界各地のテスト技術者認定機構が一緒になって組織しているISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の日本の団体、JSTQBが運営を行っています。
ソフトウェア技術者がテスト技術を強化するためのきっかけとして始まったこの認定制度では、ソフトウェアの品質、信頼性、そして安全性を担保するための重要な技術が学べます。
また、JSTQBの認定資格は世界中で受け入れられる国際資格です。
テストエンジニアにとっては、ソフトウェアテストに密接に関連する資格であるため、最適な資格と言えるでしょう。
IT検証技術者認定試験(IVEC)
IT検証技術者認定試験(IVEC)は、一般社団法人IT検証産業協会(IVIA)が認可する資格です。
テストエンジニアに向けた資格試験で、ソフトウェア開発におけるテスト・検証能力を示せます。
特に、実務を強調した試験が特性となっています。
資格試験はレベル1から7まで難易度が設定されており、自身の学習進度に応じて受けることが可能です。
ソフトウェア品質技術者資格(JCSQE)
ソフトウェア品質技術者資格(JCSQE)は、一般財団法人日本科学技術連盟が主催する資格です。
資格取得により、ソフトウェア品質についての知識が習得されていることが証明できます。
試験の目的は、ソフトウェアの品質を高めることであり、テストエンジニアの学習にも最適です。
また、ソフトウェア品質工学の知識を持つことが証明できるため、キャリアの進展に有利です。
テストエンジニアは経験によって年収に差が生まれる
テストエンジニアの年収は、未経験で250万〜350万・会社員で600~900万円を目指すことが可能です。
また経験を積みフリーランスになると、時間単価で5,000円〜7,000円になります。
もちろん未経験から始めても、スキルや経験によっては会社員やフリーランスになることも可能でしょう。
テストエンジニアだからと年収アップを諦めず、スキル取得や経験を積んで、高年収のテストエンジニアを目指してみてください。